初めて使う弓を選ぶのは、実は非常に難しいです。
経験者であれば、バランス感や弦に当てたときの弓の反発など、今まで使ってきた弓との比較で選択していくわけですが、これから始める方はバイオリンを弾いたことがない状態なので、基準が無いわけです。
試奏も出来ない。
実際音が響くバイオリン本体以上に、弓の選択の基準は操作性能という繊細で難しい基準のため、正確な持ち方をまだ分からない状態では最適な弓を選ぶ事は不可能かもしれません。
まずは最低限の材質や価格帯の知識を勉強しましょう。
オススメは信頼のおけるお店で店員さんにチョイスしていただくことです。
弓の材質
バイオリンの弓に使用される木材は2種類しかありません。
フェルナンブーコとブラジルウッドです。
加えて、カーボンファイバー製の弓もあります。
弓の材質や性能は、操作性だけでなく音色にも大きく影響します。
ブラジルウッド
ブラジルウッドは子供用の分数バイオリンなど、低価格のバイオリンにセットで付けられるような、あまり性能の良い材木ではありません。
しなやかさが不足しており、しなりが少なく反発しづらい弓と言えます。
フェルナンブーコ
フェルナンブーコは最上クラスから初心者クラスまで使われている材木で、やはり購入するのはフェルナンブーコの弓が一番の選択肢になるでしょう。
同じ材木でも、材質には差があり、加えて作製者の知名度やオールドとしての価値も加味されて、値段は千差万別です。
高いものは数百万します。
木材から削り出すため、同じ作家の同じ年代のものであっても差異が生まれるので、実際に手にして選ぶことが必要です。
いい材質のフェルナンブーコの場合、弓先が細く良いプロポーションが作れると言われています。
カーボンファイバー
木材以外では、カーボンファイバー製の弓が多く使われ初めています。
カーボンファイバーの利点としては、製品ごとの品質のブレが無いことと、弓の重心の位置を意図的に変更し、色々な重心位置の弓が作れるため、同じメーカーの違う重心の弓を弾き比べ出来ることです。
カーボンファイバー製の弓については、製品の精度が良いため、価格の数倍の価値のある音色が出る。という意見もありますが、本来のバイオリンの音色を引き出す事は出来ないので無価値だ。という意見を持っている人もいます。
ヤマハのカーボンファイバーなら価格も安く、信頼性は高いです。
しかしながら、カーボンファイバーは一番最初に手にする弓ではないかもしれません。
最初に買うべき弓の価格帯は?
これから始めるのであれば、3万円〜10万円位弓が妥当かと思います。
それ以上の価格帯は上達してからのステップアップ時に検討しましょう。
杉藤楽弓社は1889年から弓専門で製作している会社なので、杉藤製品を選ぶのは正解だと思います。
弓製作への自信に溢れたサイトを確認してみましょう。
フェルナンブーコだと4万円から132万円のラインナップがあります。
初心者の方ヘオススメしているバイオリン本体ヤマハV10Gのフルセットだと、フェルナンブーコの弓が付いてくるので、最初はそちらでも十分かと思います。
フェルナンブーコの弓がセットでこの価格は恐るべき安さです。
弓の各部の名称
弓を買うときに店員さんに専門用語を出されても動揺しないように、弓の部位ごとの呼び方を覚えておきましょう。
毛(馬毛)は消耗品なので、一年に一度程度張替えが必要です。
大体5000円程度。
ラッピング、サムグリップも専門店で取替え可能なので、中古の弓を手に入れた場合でもピカピカに修理出来ます。
フロッグは黒檀(エボニー)製。
カエルに似てるからフロッグと呼ばれるのだそうな。
松脂を買おう!
弓を買ったら松脂(マツヤニ)が必要です。
バイオリンの音を出す仕組みは、バイオリン本体の弦を弓の毛の摩擦で震わせることで、バイオリンの箱の中で音が響く訳です。
買ったばかりの弓は全く摩擦が起きず、滑るだけです。
弓の毛には松脂を塗って抵抗を作って摩擦が起こリます。
こちらのミランの松脂は、弓の引っ掛かりが強めで初心者の方でも音が出しやすいと言われています。
初心者向けで作られているわけではなく、バイオリンを引く上で定番の製品なので他に使ってみたいものがなければ使い続けて問題ない松脂です。
弓の選び方のまとめ
弓の選択は非常に難しいですが、予算を決めて、良いお店で店員さんに選ぶのを手伝ってもらうのが最良の選択だと思います。
ネットで揃えるのであれば、杉藤楽弓社やヤマハなどの信頼置けるメーカーのものを選びましょう。
アマゾンで検索してみると恐ろしく安い弓がゴロゴロ出てきますが、そういった出どころや材質に信頼の置けない製品を使うことで、
「音が悪いのは弓が安いせいかな?」
「弾き方が悪いのかな?弓が悪いのかな?どっちやねん。」
なんて不安に感じながら練習するのは精神衛生上よくありません。
まずは最低限信頼を置ける、音色の悪さを楽器のせいに出来ない程度の弓を準備しましょう。
以上、「バイオリンの弓の選び方」でした。
コメント